伊坂幸太郎『SOSの猿』

SOSの猿

SOSの猿

ファンの熱い声援を受けて、久しぶりに伊坂の感想でも書きます(単純。

惜しい!惜しいぜ、伊坂〜!伊坂は分かってる。わかってるやつだよ、ホント…生きていくうえでのなんだかもうにゃにゃにゃにゃん!な感覚を的確に表現しようと頑張ってくれている。ばかにしちゃあいけないよ! 重要なことは孫悟空は一体何なんだということではなく、「くよくよを表に出しても仕方がない」という部分だ。考えすぎなんですよ、僕ら。ほら、言ってただろ?キック・ザ・カン・クルーが。死んじゃうなら死んじゃうまで楽しんじゃうって…

伊坂ほど「時間の流れ」転じて「生きていくこと」について誠実に向き合っている作家を俺は知らない!!(小説をほとんど読まないからな) ある意味、伊坂幸太郎重松清寄りなのである。この、僕らは明日の献立のことが気がかり理論を、逃げではなく、そして相手を鼻白ませることなく、ポジティブな方向で誠実に展開させることは至難の技なのである。

いまだにキャラがどうだとか、ミステリがチンカラホイとか言ってる輩は海の藻屑となるべきだよ!!!ってか、孫悟空は、にゃにゃにゃにゃん!を抽象化したものなので、俺たちが好き勝手に変換すればいいだけなのです。

ただ、分かっていることと、物語自体の面白さは別だ。途中までの冗長な展開と、ラストの説明口調は全くもっていただけない。モダンタイムスのときに俺は言ったよな〜伊坂さんよ〜?考えていることをそのまましゃべらすのは邪道だよ!ただ、分かる。その気持ちは分かる!説明しないと説明できないもんね、これ…

そう。これを、物語としてさりげなく昇華できたときが、波動に目覚めた伊坂の完成なわけなのです。さようなら