佐藤多佳子 『しゃべれども しゃべれども』
- 作者: 佐藤多佳子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/05/30
- メディア: 文庫
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主人公が噺家ということも勿論あるのだろうが、全体を通して文章に凛としたものがあるというか、一本のしっかりとした筋のようなものが感じられて、読んでいてとても心地が良い。覚えたての噺を嬉しそうに話す村林、「一期一会」の一門会、村林と十河の落語お披露目会、そしてもうこれ以上はどうしようもないってぐらいのハッピーエンドを提供してくれるラスト、読んでいて良い気持ちになれる場面がたくさんある。正直言って何度ウルっとしてしまったか分からない。
三つ葉を初めとした登場人物も、揃いも揃って素敵なやつばかり。特に十河はなんだありゃ。これにキュンとしない人のほうがおかしいに決まってる。そうか。これが俗に言う「ツンデレ」か…。ハッキリ言ってこれは反則だ。でも、好きだ。