貴志祐介 「黒い家」

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

貴志ファンを名乗っておきながら、実は読んでませんでした。ごめんなさい。内容を物凄く簡単に説明してしまうと、保険金殺人です。それをお馴染みの緻密な描写と圧倒的な知識量で描き出した作品。しかも、筆者自身も以前は保険会社に勤めていたというのだから、そのリアリティにも拍車がかかります。それが面白くないわけがないじゃないか!

ラストに近づくにつれ犯人の本性があらわになっていく過程は結構怖く、「なますにしたるわ」は名言認定です。主人公が黒い家に乗り込むところや、エレベーターでの対決の場面での緊迫感も鬼気迫るものがあります。今までの犯罪の匂いが染み付いた「黒い家」という表現もウマイ。これを読むと、「硝子のハンマー」がいかに無機質というか、淡々としているというか、人間味のない小説だったかが分かるよなぁ。あれはやはり本格ものすぎた。

そんなわけで面白いので、読んでないかたは是非どうぞ。ブックオフで100円ぐらいで簡単に手に入ります。残す貴志作品はイソラのみ。