高村薫「マークスの山」

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

「昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。元組員、高級官僚、そしてまた…。謎の凶器で惨殺される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?マークスが握る秘密とは?捜査妨害の圧力に抗しながら、冷血の殺人者を追いつめる警視庁捜査第一課七係合田刑事らの活躍を圧倒的にリアルに描き切る本格的警察小説の誕生」といった内容。93年の直木賞受賞作品。今回読んだのはハードカバーですが、文庫版は内容が少し違うらしいです。

いやぁー長かった。Amazonのレビューとか見るとスゴイ賛否両論だったんですけど、それも納得できます。苦手な人にとってはかったるくてしょうがないと思います。だって、文章とかガチガチに固いですもん。自分も最初のほうはかなりダルかったですけど、後半は結構盛り返してきたのでハラハラドキドキで読むことができました。凶器が発見されるあたりとかは一緒に「ついに見つけたー!」みたいな気持ちになったし、林原弁護士との頭脳戦みたいな場面はかなり面白かったです。

警察内の軋轢とか犯人の動機だとか脅される側が隠してる過去などの筋はそんな大したもんではないんですけど、警察組織の描写が物凄い迫力があるというか。実際の警察もこんな感じでドロドロと頑張ってるのだろうかと思わず想像してしまうほどに細かい。正に「事件は現場で起きてるんだ」的なね(笑。作品を誉めたい気持ちでいるんですけど、ちょっと言葉にしにくい感じですこれは。でも、王道といえば王道というか。

ちなみに、この作品の主人公である刑事の合田雄一郎は「照柿」「レディ・ジョーカー」という作品にも登場するらしいので、今度読んでみたいと思います。そういや「レディ・ジョーカー」は爆笑問題の太田もラジオでめっちゃ誉めてたなぁ。

というわけで、読み応えのある作品なので腕に自慢のあるかたはどうぞ(笑。