横山秀夫「半落ち」

半落ち

半落ち

「請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。全面的に容疑を認めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。感涙の犯罪ミステリー」という内容。自分は見てないんですけど、映画を見た人も結構いそうですね。この人の小説はまだ文庫が短編しか出てないので、読むのは今回が初めてです。短編はちょっと苦手なんでね!

とりあえず、読みやすい。なんという読みやすさ。面白いほどスルスルと文章が頭に入ってきます。この前の「マークスの山」とは大違いだ。しかし、読みやすいということは内容が薄っぺらいことにも繋がりかねない……よね?で、この本はどうなんだというと、ちょっとあっさりめだったかなぁと。ページ数もそんなにないしね。カルタシス!みたいなのが足りない気がしました。

内容の構成は刑事、検察、弁護士、裁判官、刑務官、というように時間と共に視点が変わっていくようになっていて、これまた「マークスの山」みたいに警察内の軋轢とか、身内の事件の詳細は必死に隠蔽しようとする警察だとか警察と検察の対立だとか、おなじみのことが並ぶわけですよ。そして、引っ張って引っ張って一番最後に犯人が隠してたことがわかるわけなんですが、それが意外と肩透かし。「えっ。引っ張ったわりにはそれ?」みたいな。

いや、でも最後の盛り返しはスゴイですよ。今まで結構淡々と進んでたのに、最後の10数ページで一気にいきますから。ちょっとネタバレになりますけど、「もう一人救いたい」っていうセリフはグッときましたし。でも、まぁ最後に頼りすぎなのかなぁと思いました。この人の小説は、これより「クライマーズ・ハイ」とか「臨場」とかのほうが面白そうなので次はそっちを読んでみたいと思います。

さて、溜まった本も消化し、今机に残っている本は症候群シリーズだけですよ。楽しみに待ってて下さいね(笑。