重松清「流星ワゴン」

流星ワゴン

流星ワゴン

「ひきこもり、暴力をふるう息子。浮気を重ねる妻。会社からはリストラ寸前……死を決意した37歳の僕は、死んだはずの父子が運転する不思議なワゴン車に乗り込んだ。そして――自分と同い歳の父と出逢った」といった内容。設定はちょっとファンタジーやSFっぽい要素が入ってます。

これはね、正直泣きました。授業中に一番後ろの席で読みながら泣きました。この人の小説は宮部みゆき「理由」の解説を書いてたのをキッカケに「ナイフ」「エイジ」「舞姫通信」と三冊読んだんですけど、ダントツで良かったですね。この人の小説って下手すればベタベタな感じになっちゃうテーマが多いんだけど、それをちゃんと現実的にというか、生々しく書いてるのがスゴイなぁと思います。

ホント最近こういうテーマには弱いんですよ。過去や未来や家族や人生とか。これに出てくるように、ホント過去に戻ってやり直したい場面ってたくさんあると思うんですよ。ああすれば良かったこうすれば良かったって。でも、やり直すことなんてできないし、ましてや間違った選択をしたことにすら気付いていないかもしれない。結局は今を頑張るしかねーな、と。それをサラリと認識させてくれる話ですこれは。ラストもただハッピーエンドに終わるんじゃなくて、少しだけ希望が見えて終わるってのが素敵。

いやぁーマジで未来があるって幸せってことです。終わるのなんて嫌だねホント。