白川道「天国への階段」

天国への階段〈上〉

天国への階段〈上〉

「家業の牧場を騙し取られ非業の死を遂げた父。最愛の女性にも裏切られ、孤独と絶望だけを抱え19歳の夏上京した柏木圭一は、26年の歳月を経て、政財界注目の若き実業家となった。罪を犯して手に入れた金から財を成した柏木が描く復讐のシナリオ。運命の歯車が狂い、ひとりひとりの人生が軋みだす…」という内容。

読書感想文強化月間です。ドンドン消化していきます。この人は元々、というか本質は確かハードボイルド作品を書く人だった人と思います。最初のほうはいまいちストーリーや全体図が見えてこなくて、少しかったるかったんだけど、後半は一気に読み進められました。「天国への階段は、金では買えないと気がついたんだ…」みたいなセリフに代表されるように、全体的にセリフが芝居がかってるというか、言ってみりゃくさいんだけども、まぁそんなには気になりません。

一番グッときたところは、やはり親子なんだと泣きながら訴える場面かなぁ。そういや、親子の血は絶対だ、というようなセリフを他の小説含め最近何回も読んだ気がする。そうなのか?いや、結局はそれぞれの環境によるんだろうな。当り障りの無い意見のようにも見えるけど、案外そんなもん。何事も括って語ってはダメだと、俺は最近言い聞かしたりしています。そうすると良い人ぶれるぜ!

で、やっばり作品の根本には時の流れっていうものがあると思いますねぇ。俺が最近読んでるのそんなのばっかだよ。色々なものがドンドンと変わっていって、自分も変わっていって、気がついたらどうしようもなくなってる。当たり前のようにあったものが、いつの間にかたくさんのものが自分の周りから無くなってたりして、そういうどうしようもなさが最近は泣ける。あと、この作品を読むと無性に北海道の絵笛に行きたくなります。

作品よりも、俺の感想がだんだんとくさくなってきている気がする今日この頃。