誰も知らない

誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

やっとレンタルに置いてあったので借りてきました。あまり説明する必要もないと思いますが、カンヌ映画祭において、柳楽優弥が最優秀男優賞を史上最年少で受賞した作品です。親に置き去りにされた四人の子どもたちの生活の約1年を描いています。

この作品は1988年に巣鴨で起きた事件が元となっていると聞きまして、興味本位でちょっと調べてみたのですが、どうやら実際はもっと悲惨な事件だったようです。映画の方はというと、悲壮感などはあまり漂っていなかったし、お涙頂戴っていう感じでもありませんでした。子供たち四人の生活がただ淡々と映し出されているだけです。だからきっと「なんて母親なんだ!」とか、そういうことを声高に言うために作ったわけではないのかもしれません。別に強調しなくても、ふとした子供の仕草などによって自然に伝わってきますしね。

ホント淡々としてるとしか言いようがなくて、こいつらホントにただ生活してるだけなんじゃないか、とすら思えてしまうんですよ。特に下の男の子なんかは「もしかしたら素のまんまなんじゃないか」って何回も疑ってしまいました。ちなみに、映画に出てくる子供たちは最後まで涙は見せません。自分も泣きはしなかったけど、最後挿入歌が流れてくるあたりはさすがにちょっとグっときました。

見終わった後はその歌が頭の中を流れつつ、不思議な余韻が押し寄せてきて、DVDを返しに行くとき目に映った風景がまるで映画の中みたいに見えてきてしまいました。そのぐらい日常に近かったのかもしれないです。直接何かを主張するのではなくて、誰も知らなくてもこういうことがあったりするんだ、とそれをこちらに見せて何かを考えさせるという一番理想に近い作品だと思います。

俺はまぁ相変わらず何を思えばいいのか分からないなぁ。でも、考えることによって、自分の何かが少しでも変わればそれでいいのかもしれない。