重松清 『いとしのヒナゴン』

いとしのヒナゴン

いとしのヒナゴン

30年ぶりに比奈町に現れた謎の生物ヒナゴン。町役場では町の存続を図るため類人猿課を設立。課に配属された信子は、 その存在を次第に信じるように。市町村合併問題、町長選をめぐり、ヒナゴン騒動は過熱してゆく」といった内容。

もうホント重松清の王道路線といった感じです。全体的にほのぼのとした印象ではあるけども、田舎特有の汚い部分などもしっかりと描き、地方自治体の問題だとか、田舎から東京行ったはいいが仕事がうまくいかなかったりだとか、そういうものを絡めつつしっかり泣かせてくれます。で、最後はハッピーエンド。そう、今回はほとんど完璧にハッピーエンドといっても過言ではないんですよ。ラストでの光の差し方がいつもより4割増というか(笑。

そんな感じなんですけど、田舎特有の嫌なところとかを描いた作品としては、『熱球』のほうが俺は好きかなぁ。話の中心にすえてあるのはヒナゴンだし、破天荒な市長であるイッチャンと共に漫画チックな感じがどうしても否めません。まぁヒナゴンは色々なものの象徴や比喩なんだと捉えたりしてみると結構スッキリするけど。ヤバイ!こんな俺は絶対ヒナゴンを見ることができないな!ちなみに、筋斗雲も乗れません。あと、よくよく考えてみたら、『熱球』は「田舎」より「家族」のほうが比重が大きいかも。

っーか重松の作品、映画化決定しすぎだなぁ。『流星ワゴン』も映画化するらしいし、『疾走』もでしょ?後者の映画は悲惨な作品になりそうだな…。期待することすらできない。この『いとしのヒナゴン』はもう撮影が終わってて、夏に公開予定だそうです。井川遥主演で、広島が舞台ということで主題歌が奥田民生。これ実写にしたらクサくなりすぎて微妙だろうなぁ、と思ったけど、予告編を見てみたら結構良さそうだった。ちょっと見たいかも。

公式サイト:http://www.hinagon.net/