筒井康隆 『パプリカ』

パプリカ (中公文庫)

パプリカ (中公文庫)

内容を簡単に説明すると、人の夢に自由にアクセスできたりするという機器「DCミニ」を巡っての壮絶な戦い、といった感じです。結構厚い本なんですけど、学校の図書館で借りて今日が返却期限の日だったんで一気に読みました。それが全然苦にならないほど面白かったです。後半の勢いがめちゃくちゃスゴイ。

筒井康隆の作品は今まで読んだことがなくて、なんかこう皮肉った小説を書くらしいというイメージだけあったのですが、この小説はもう単純に面白い。舞台は主に精神医学研究所などで展開し、「夢探偵」パプリカの話ってことで最初は治療のエピソードなどが普通に描かれているのですが、後半で話の軸がDCミニを巡っての内紛に移動するにつれて展開の速さが物凄いことになります。もうここらへんが面白いのなんのって。!

もうラスト近くなんて夢と現実の境界線がなくなっちゃって訳がわかりません。副理事長がグリフォンになって現実世界に出てきたり、味方は何の脈絡もなく大仏や不動明王に変身(笑。これはもうアレですよ。救世主になったマトリックスのネオみたいな感じで、夢世界での能力を現実世界で惜しげもなく使う登場人物がある意味羨ましいです。なんか裏に言いたいことが隠されてるのかもしれないけど、俺はもうただ素直にエンターテイメントな作品として読ませてもらいました。

というわけで、今度は違う作品も是非読んでみたいと思います。