重松清 『きよしこ』

きよしこ

きよしこ

吃音の少年の話。最初に書いてある通り、昔の重松自身のことを書いた作品なのだろう。連作短編集の構成になっていて、話自体は特にこれといってヒネリもなく王道をいったものばかりであるし、サラッと読んでしまったので記憶に鮮明に残っている箇所はあまりないのだが、なんというか、ある物事に関して自分なりの何かを生み出すときに、それを体験したことがあるかないかは物凄く重要なのだなと改めて感じた。

重松自身が以前吃音のことでなんやかんや言われたから、子供の微妙な心の表情を書くのがうまいのだな、と。微妙というのは、例えば『「吃音なんか」の「なんか」が、僕には少し悲しかった』とか、そのあたりのことであって、これはもう俺はいまいち分からない。分かるような気もするけど、やっぱり分からない。

なんか、そういう昔に置き忘れちゃったものがたくさん詰まってるような作品。人間は子供だろうが、大人だろうが色々とめんどくさいもんだなぁなどと思った。