アンソロジー 『I LOVE YOU』

I love you

I love you

色々な作家が恋愛について書き下ろした作品。伊坂幸太郎が書いた「透明ポーラベア」だけ読みました。立ち読みで…。いや、まぁたまにはいいじゃないですか。簡単に内容を説明すると、近いうちに彼女と遠距離恋愛になってしまう主人公が、ある日動物園で姉の恋人だった人に偶然会うというもの。言葉で説明してしまうとたったこれだけのストーリーなんだけど、それを面白く書けてしまうのが単純にスゴイなぁ、と。とても良い話を読めたという気がしました。

やって来ては去っていった姉の恋人、目の前にいる姉の元・恋人とその新しい彼女、自分の彼女、いつの日か関係がなくなって、みんないなくなってしまうのかなというある種の無常観がとても切ないです。読んでいる途中で、こりゃ俺が伊坂のこと好きになるのも無理ないな、と納得してしまったよ。あんま関係ない話だけど、最近子供見ただけでなんか泣けそうになったりするからね俺。

で、読後感はやはり爽やか。短い話なのに、後半一気にドッとまとめてくるこの上手さは一体なんなのだろう。ラストではもう主人公と一緒に「そうか。みんな繋がってるのか」となんか全て解決してしまったかのような気分になって、ちょっと涙が出そうになった(でも立ち読み)。ああいうのはズルイって!歴代仮面ライダーが最終回に全員集合するようなもんだよ。ラスト三行も上手すぎてズルイ。ズルイ尽くし。これ、手元に置いておきたいなぁと思ったので、いつか買います。

ちなみに、白熊の毛は本当に透明らしい。