東野圭吾 『容疑者Xの献身』
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 単行本
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泣いた。久しぶりに東野で泣いた。途中まではなんてことはないミステリーって感じなんだけど、ラストで一気に俺の涙腺をこじ開けてきやがった。相変わらず推理などを一切しない俺はトリックにも普通に騙されました。そして、このトリックがまたラストの切なさに拍車をかけるわけですよ。っつーかそれが核だな。
このトリックを実行するにまで至った石神の想いの強さが伝わってくる文章がこれでもかってぐらい連続して出てくるから困った。そりゃ「崇高なるものには、関われるだけでも幸せなのだ」なんて簡単に割り切れるはずないわ。だからこその嫉妬だったろうと思うし。俺だってそんなに打たれ強くないよ!
「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある」
こんな一文が最後のほうに出てくるんだけど、これがスゴイ好きだ。そんなことがあるのなら素敵な気がする。悲しいけど、少しだけ良い気分になれた。