重松清 『幼な子われらに生まれ』

幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)

幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)

三十七歳の私は、二度目の妻とその連れ子の二人の娘とありふれた家庭を築く努力をしていた。しかし、妻の妊娠を契機に長女は露悪的な態度をとるようになり、『ほんとうのパパ』に会いたいと言う。私も、長女を前妻との娘と比べてしまい、今の家族に息苦しさを覚え、妻に子供を堕ろせと言ってしまう―。といった感じで、あらすじからしてちょっと重いんだけど、読んだらホントに重かった!

いやーこれはホント暗かった。「ビフォア・ラン」は暗かったって書いたけど、これは段違いの暗さだなぁ。あまりの暗さに、読んでる途中で放り投げそうになったよ!いや、でも最後になると、まるで今の重松にバトンタッチしたかのように、急に展開に希望が見えてくるのがスゴイ。家族を取り巻く環境は大して変わっていないはずのに、なにかこう救いが出てきたという気にさせてくれるのが不思議。変わったけど俺が気が付いてないだけ、という意見は残念ながら却下だ!

あの最後のデパート屋上での場面はさすがにちょっと泣いた。そして、あのプレゼントのカードな。俺が悪かった。勘弁してください。性善説を確信させてくれるような展開、俺は嫌いじゃないです。不良が子猫を拾う。俺が老人に席を譲る。やさぐれたアイツは親に仕送り。何事もそういうギャップが大事なわけですよ。

あーもう!読んだの結構前だから詳しいこと忘れた!いいから読め、お前ら!