自転車ララバイ

退廃的に夜更かしをしたあと、昼過ぎに家路に着く途中、電車の中で「自転車撤去されちゃったから、四千円払って引き取らないといけないんだよね」と友達が言い出したので、これはもう二人で裏口やまたはそれに類似するものからコッソリ忍び込んで取り返すしかない!と小学生のころに持っていた冒険心を無駄にほじくり返し、少しテンションがあがってしまったので一緒に付いて行ったのですが、ものの三十秒で後悔いたしました。最近暑すぎじゃね?夏ってバカ?

炎天下に20分ぐらい歩かされ、やっと自転車集積所が見えてきたので、慎重に近づきつつ「もしかしたら、なんとかなるかもしれない」と淡い期待を抱いたのですが、待っていたのは到底乗り越えられないフェンス。見渡しのきく敷地、雇われたおっさん三人。諦めた老け顔の友達は、普段どおりの人生に疲れた面持ちで、素直に四千円を払いスゴスゴと退散したのでした。もはや哀愁そのもの。

だがしかし!せめてもの抵抗として、「お金かかっちゃうんですよねぇ…」とものすごく下手に出てきたオッサン(普段から文句を言われることが多いからなのかね)に対してごねることもなく素早くお金を支払い、むしろ「ありがとうございました」と爽やかに挨拶をし、帰り際奥にいたオッサンにまで深々と会釈をして帰ってきてやりました。きっとこの出来事は「珍しく爽やかな青年たちが私の職場を訪れた」といった感じで、近々新聞の投書欄にデカデカと載ることでしょう。また、自転車を撤去されてしまったアイツは普通にバカ、と……。

明日は今更面接。もう面接のしかたあーー忘れたましたわあー。