遠藤周作 『海と毒薬』
- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/07/15
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 79回
- この商品を含むブログ (161件) を見る
昔の小説特有のものなのか、どこか感情が感じられず、無機質な文章が続く。それと重い内容とが相乗効果になり、何か得体の知れぬ怖さが迫ってくる。 極端に言えば、少し胸クソ悪くなってしまうほどである。 読み終わったあとは、世間や社会の罰に対してではなく、自分の良心に対して 恐れを抱いたことが私にはあっただろうか、と自分自身のことについてぼんやり考えてしまう。
本には読むと賢くなったように思えてしまう力があるが、これはそういったものではない。駄作だ、というわけではないのだけれども、いわゆる面白い小説、良い小説ではないと思う。批評して分かった気になってはいけない気がする作品。