森博嗣 『フラッタ・リンツ・ライフ』

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

スカイ・クロラシリーズの第四作目。ちなみに、森博嗣の作品は、このシリーズ以外はほとんど読んでいない。

個人的にはストーリーは特に面白くないと思うし、筆者も別に面白い話を書こうとしているわけではないだろうという気がするのだが、ただ、一作目はともすればわざとらしくなってしまうような比喩や、主人公が頭の中でつらつらと考えていることが読んでいてものすごく気持ちの良い表現の仕方で書かれていて、その文章を噛み砕くだけで非常に満足させてくれるような小説だった。だが、段々とその鮮度が落ちてきているように思える。

さいころは、「いつか死ぬ」ことなどほんの少しも意識せずに日々生活していた。そのことを思うと、子どもというのは永遠に生きていけるような存在と言えるのかなぁと、この作品を読むと毎回考える。このシリーズに登場する、死を恐れないキルドレは子どもそのもの。次でどうやら完結するみたいなので、永遠に生きられるということは一体どんなことなのか。そのことを最後に綺麗に、ただ文章として綺麗に書いて欲しいなぁと思う。