森見登美彦 『四畳半神話大系』

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

お馴染み京都が舞台の青春バカ話。確かに小気味良い文章は好きだし、飛び道具的部分ばかりが注目されてしまいがちだけれども、言ってしまえばそんなところはどうでもいい。言いたかないが、やっぱこの人は「わかってる」人だなあと。そう思います。ただの自虐であったら、こういった後味のものは書けない気がする。

言いたいことというか、根っこがとてもシンプルであるが故に、最後の最後はなぜだか感動的な雰囲気すらあるのがスゴイ。「もしもああしていれば……」などとぬかすやつらをあざ笑いつつも、読み終わり全体を見返してみれば、なんだかもはや人生賛歌。いわばこれはいたって普通の元気が出る小説だよ……。

それにしても、「もちぐま」。語感がなんともいえない。